NAP(ナップ)とは、Name(ビジネス名)、Address(住所)、Phone number(電話番号)の頭文字を取った略語で、主にローカルSEOやMEO(Map Engine Optimization、地図エンジン最適化)において、ビジネス情報管理の重要項目とされています。
当記事では、NAP情報の重要性、設定する意味、設定の仕方、設定しない場合はどうなる?を取りまとめています。
店舗をもつWEBサイトを作る際の参考になれば幸いです。
Contents
特徴
NAP情報はローカルSEO、MEOの基礎になります。Googleマップや各種業種ポータル、公式サイト、SNSプロフィールなど、ローカル検索結果の表示順位に大きく影響します。
これらの情報を一貫性を保つために、統一されたNAP情報をそれぞれのプロフィールに記載することが重要になります。
表記揺れやスペルミス、全角半角などの違いも許されないため注意が必要です。
NAP情報がインターネット上で言及されることを「サイテーション(citation)」と呼びます。サイトや店舗に対する口コミ、書き込みなどが該当します。
サイテーションはGoogleがビジネスの信頼性や知名度を判断するうえで、重要な要素となる可能性が高いです。
公式サイトに記載された情報をベースに、構造化データ JSON-LD を設定する必要があります。
ローカルSEOとは?
地域名+ビジネス(美容、カフェ、雑貨、などのジャンル)を検索した際に表示される検索結果です。
スマホで検索すると、近くのカフェが表示されたりするアレです。NAP情報を登録、統一することにより、googleマップ上での検索結果が上位に表示されたりするため、店舗ビジネスにとっては大きな意味を持ちます。

NAP情報を設定する意味
NAP情報を正しく、そして一貫性を持って管理することには、以下のような大きな意味があります。
ユーザーの利便性向上
ユーザーが地域名を含む検索をした場合やスマホを使って近くのお店を検索したときなどに、Googleマップやローカルパックに表示されやすくなります。
Googleは「関連性」「距離」「知名度」の3つの要素でローカル検索のランキングを決定すると言われ、NAP情報はこのうちの「関連性」と「距離」に関連し、「地名性」にも間接的に貢献します。
ユーザーにとっては、正確な情報に素早くアクセスでき、店舗の来店や問い合わせが容易になります。
スマホから位置情報を使った検索にてマップ上に情報が表示される際、距離や知名度、関連性が優位な情報が上位に表示されると言われています。
SEO、MEOに対する施策
ローカル検索での視認性向上(MEO対策):
ユーザーが地域名を含む検索をした際、Googleマップやローカルパックに表示されやすくなります。
Googleビジネスプロフィール等での順位向上:
NAPが正しく統一されていると検索エンジンがビジネス情報を正しく認識しやすくなり、露出や検索順位向上に強くつながります。
Web制作者の関わり方
Web制作者は、NAP情報の重要性を理解し、以下の点で関わることができます。
設定の重要性を提案:店舗型ビジネスにおいて、ローカルSEO、MEOは非常に重要な施策です。クライアントがNAP情報について言及されないときは、「こういった施策がありますが、実装いたしますか?」と提案することができますね。
提案の後に以下のようにご提案もできます。クライアントが機会損失をしないようNAP情報をうまく使っていきたいですね。
掲載内容の統一、管理
各SNSとの情報のズレ、Googleビジネスプロフィールなどの他媒体の管理者と連携し、NAPの表記を統一します。
構造化データの設定、活用
制作したWebページに構造化データ(JSON-LDやmicrodata)でNAP情報を記述し、検索エンジンへの的確な伝達をサポートします。
運用サポートツールの導入提案
複数のサイト、SNSやGoogleビジネスプロフィールにまたがるNAP情報の一括管理ツールの導入などもご提案します。
サンプルコード(構造化データ)
WebサイトにNAP情報を埋め込む際には、検索エンジンが情報を理解しやすくするために構造化データ(Schema.org)を使用することが推奨されます。
以下は、HTML内にJSON-LD形式で記述する例です。
<script type="application/ld+json">
{
"@context": "https://schema.org",
"@type": "LocalBusiness",
"name": "ナップカフェ",
"address": {
"@type": "PostalAddress",
"streetAddress": "銀座1-2-3",
"addressLocality": "中央区",
"addressRegion": "東京都",
"postalCode": "100-0000",
"addressCountry": "JP"
},
"telephone": "03-1234-5678",
"url": "https://www.example.com/nap-cafe/",
"openingHours": "Mo-Fr 09:00-17:00",
"hasMap": "https://maps.app.goo.gl/XXXXXXXXXXXXX"
}
</script>
説明:
@context
: 使用する語彙のコンテキスト(ここではSchema.org)を指定します。@type
: このマークアップが何のタイプであるかを定義します。ここではLocalBusiness
(ローカルビジネス)を使用しています。店舗の場合はRestaurant
やStore
など、より具体的なタイプを指定することも可能です。name
: ビジネスの正式名称(会社名や店舗名)。address
: 住所情報。PostalAddress
タイプを使用し、各要素(番地、市、県、郵便番号、国)を細かく記述します。telephone
: 電話番号。url
: 公式WebサイトのURL。openingHours
: 営業時間。ISO 8601形式で記述します。hasMap
: GoogleマップのURLなど、地図へのリンク。
設定できたかのチェック
構造化データをwebサイトで設定できたかのチェックを行います。
リッチリザルトテストに該当URLを入れ、URLをテストをクリック。
問題がなければ「有効なアイテムを検出しました」と出ます。googleがビジネスを信頼し、ローカル検索結果でより適切に表示するために役に立ちます。
このテストで問題なければ、上位表示される可能性が上がるということですね。
NAPを貼る場所
NAP情報や構造化データは、以下の場所に配置することが一般的です。
- 公式Webサイトの「店舗情報」「アクセス」「お問い合わせ」「フッター」:
いずれもページ下部や目立つ箇所に掲載されるのが一般的です。 - Googleビジネスプロフィール:
Googleマップへの情報登録時にも、必ずNAPを正確かつ統一的に入力します。 - ポータルサイト、SNSプロフィール:
- 各種外部ディレクトリや口コミサイト:
- 構造化データ(JSON-LD):
<body>
タグ内のどこにでも配置できますが、一般的にはページの<head>
セクション、または<body>
セクションの開始直後に配置することが多いです。
WordPressサイトの場合は、functions.phpに設定することもできます。
Web制作者は、公式サイトを起点にNAPの正確性と統一感を保つことが最重要です。構造化データ実装や外部媒体との情報すり合わせも積極的に行い、ローカルビジネスのオンラインでの成功に貢献することが求められます。
XでNAP情報を設定する
X上にはNAP情報を入力する、といった指定の項目が存在しません。
ですので、プロフィール欄に住所、電話番号、事業名(店舗名)、公式WEBサイトのURLを記載します。
電話番号を公開することに抵抗がある場合は、メールアドレスや、問い合わせフォームへのリンクを設定することが一般的です。
instagramでNAP情報を設定する

instagramでNAP情報を設定する場合は、ビジネスアカウントへの切り替えを行います。
プロフィール→プロフィールを編集→プロアカウントに切り替える
ビジネスのカテゴリを選択し、連絡先の詳細を(電話番号、メールアドレス、住所)を追加します。
自己紹介文に店舗名、営業時間、簡単な住所などを記載します。
これらの情報をNAP情報と統一することで設定ができます。
PCでの操作は分かりづらいため、アプリ上での操作をおすすめします。
FacebookでNAP情報を設定する
FacebookでNAP情報を設定するためには、プロフィールを編集します。
ログインし、ホーム画面右上のアカウントアイコンから名前をクリック→
画面右上のプロフィールを編集をクリック→中程にある「自己紹介をカスタマイズ」に必要情報を入力します。
あとはアカウント画面より、「基本データ」→「連絡先と基本データ」より、電話番号、WEBサイト、ソーシャルリンク等を設定します。
名前→facebookアカウントの名前
電話番号→基本データ→連絡先と基本データ
住所→プロフィールを編集→自己紹介をカスタマイズ

NAPを設定しないとどうなる?
はい、NAP(Name・Address・Phone number)を正しく設定しないことには、ローカルSEO(MEO)において以下のようなデメリットが生じます。影響の大きさはビジネスの規模や業種によりますが、特に実店舗があるビジネスにとってはかなり重要です。
NAP設定しない・統一していないことのデメリット
NAP情報を設定しない、統一しないことのデメリットは、以下の点が考えられます。
Googleマップやローカル検索での表示順位が下がる
せっかくのポジティブな口コミ、書き込みが別サイトのものと判断されて、WEBサイト、ビジネスの評価が上がらない可能性があります。
検索順位が高いほどアクセスが高いので、機会損失になりかねません。
ユーザーの信頼を失う可能性
Webサイト・Googleマップ・SNSで店舗情報が一致していないと、ユーザーが混乱します。
「電話したら違う番号だった」「地図の場所と実際の住所が違う」となると、機会損失に直結します。
サイテーション(言及)効果が薄れる
他サイトでのNAP言及(サイテーション)は、Googleにとって「このビジネスは信頼されている」と判断する材料です。
ですが、言及内容が一致していないと評価が分散してしまい、SEO効果が得られにくくなります。
Googleビジネスプロフィールの効果が落ちる
正しいNAPが一致していないと、Googleが「同じ店舗」と判断できず、GMB(Googleビジネスプロフィール)の情報が評価されにくくなります。
まとめ:影響は「集客に直結する」
NAP情報はローカルSEO、MEOに置いて重要な役割を果たします。地域名+ジャンル名で検索した際の表示順位に直結するためぜひ設定しましょう。
情報の統一はNAP情報において最重要ですので、基準となる情報からコピペすることで表記揺れなどのミスを防ぎましょう。
特に以下のようなビジネスでは必須レベルです。
- 美容室・サロン
- 飲食店・カフェ
- 医療・整体・整骨院
- 教室・スクール
- 実店舗がある中小企業全般
また、構造化データは検索結果に直接反映されるため、WEBサイトを制作したら設置するよう、クライアントに提案してみましょう。
補足:Web制作者の立場から
Web制作者として「NAPの設置(HTML上+構造化データ)」をしてあげるだけで、
- MEOに強くなる
- プロっぽく見える
- 他の制作会社との差別化になる
ので、提案の付加価値としてもとても有効です。
最後までご覧いただきありがとうございました!